2018年03月30日

スクリデのストラヴィンスキーとマルタン

ラトヴィアの女流ヴァイオリニスト、バイバ・スクリデのオルフェオへの録音のひとつ。

彼女は1981年生まれ、37歳になるわけだからもはや「若手」というのは失礼だろう。
美少女ヴァイオリニストとしてメーカーが売りこんでいたのはついこの前だった気もするが、時の流れは早いものだ。
デヴューの頃から明確な輪郭を持った音色と、正確な音程感で安定した演奏を聴かせていて、活躍が楽しみな演奏家の1人だったが、期待通り、地味ながら着実に腕を上げているようだ。

sku003.jpgストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ調
サーカス・ポルカ
オネゲル:パシフィック231、ラグビー
マルタン:ヴァイオリン協奏曲

  バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)
  BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団
  ティエリー・フィッシャー(指揮)
(オルフェオ EU輸入盤)



このアルバムは新譜ではなく、2011年の録音。
スクリデ30歳の時のものだが、今更の記事となる^^;
曲目はストラヴィンスキーとマルタンの協奏曲、そしてオネゲルの管弦楽曲を収めるという意欲作。
作品に厳密な繋がりがあるわけではなく、雰囲気・色合いに共通性を感じる選曲になっているのが面白い。
トータルで聴き通しても違和感なく、また退屈することもない良く考えられた並びだと思う。

ストラヴィンスキーの協奏曲は大管弦楽の有名曲とは対照的な室内楽的な親密な響きを持っていて、おどけているようで実にクール、皮肉とか単なる諧謔ともまた違う、しゃれっ気のある音楽。
スクリデの演奏は程よい緊張感の中でユーモアを描き出していて、聴きやすい。
これがコパチンスカヤあたりだったらもっと刺激ある解釈を見せたろうと思う。
続けてオネゲルの管弦楽曲2曲。「パシフィック231」は、言うまでもなく「機関車描写音楽」なのだが、ここでは特別な強調はしていない。前後の曲のバランスを考えるに、これぐらいが程よい。
続いて「ラグビー」。231に比べるとインパクトの薄い曲なので、最近録音されるのは珍しいかもしれない。
マルタンの協奏曲については以前に自作自演盤を紹介したが、このように複数録音が存在する現近代曲は珍しく、そういう意味ではすっかり市民権を得た楽曲と言えるだろう。
自演の大家によるものに比べると、大げさにならないよう控えめに演奏していて、それが親しみやすさを生んでいるようだった。
そのあとに演奏されるストラヴィンスキーの「サーカス・ポルカ」は楽しく、さながらちょっとした「アンコール」の様に聴こえた。
このアルバムは総じて地味目の音楽が並んでいるが、スクリデのカラーもあるのだろう。
それでトータルバランスがとれているのだ。
多くの人が進んで買うようなアルバムにはなり様もないが、このジャンルを愛好する人には、長く聴き続けられる1枚になると思う。
posted by あひる★ぼんび at 23:37| Comment(0) | 音楽
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