2017年12月15日

アメリングのクリスマス

amel-cris2.jpg
「ヨーロッパのクリスマスを歌う」
エリー・アメリング(ソプラノ)
ダルトン・ボールドウィン(ピアノ) 佐藤豊彦(リュート)
アルバート・ド・クラーク(オルガン) 他
(EMI LP 国内盤)




これは本当に名盤だと思う。
ただし、曲が曲だけに「知る人ぞ知る」となってしまったのはしょうがないだろう。
リート好きには大きな魅力を発揮する曲目で、アメリングの若く清らかな声が静かな祈りの雰囲気を描き出している。
リートファンやアメリングファンから高い評価と熱い支持を得ていたアルバムにもかかわらず、2008年にCDがインターナショナル・リリースされるまで事実上埋もれてしまっていた。
今さら記事にするのも変かも知れないが、クリスマスも近づいたので、まだ聴いていない方は是非、という意味も込めて書いておきたいと思う。

収録曲はこんなふう。
<イギリス編>
伝承: 明るい土手にすわっていたら
伝承:その歌はやさしかったよ
<ドイツ&オーストリア編>
ベギニケル写本:私の心は、甘き歓喜に酔いしれます
ベギニケル写本:また新たな喜びが
ベギニケル写本:さあ、坊やをあやしましょう
シレジア民謡:山の上を
ブラームス:宗教的な子守唄Op. 91-2
ハイドン:はした女XXIIId, Nr.1
<オランダ&フランダース編>
オランダ民謡:おお、イスラエルの聖らかな処女よ
フランダース民謡:小さな、小さなイエス
<スペイン編>
カタルーニャ民謡:クリスマスの歌
カタルーニャ民謡:ビリャンシーコ〜クリスマスの踊り唄
アンダルシア民謡:コルドバのビリャンシーコ
アンダルシア民謡:アンダルシアのビリャンシーコ
<フランス編>
民謡:牡牛と灰色ロバにはさまれて
民謡:羊飼いの呼び声
民謡:マリアのために
ドビュッシー:家のない子どもたちのためのクリスマス
ラヴェル:おもちゃのクリスマス


録音は1976年頃のもので、LPは77年にリリースされた。
これらの曲目は作曲年代に軽く400年の幅があり、歌詞の言語も英語、ドイツ語、ラテン語、オランダ語、カタルーニャ語、スペイン語、フランス語7ヶ国語になっている。
「祈り」というものは根源的な人間の思考であり、それぞれの文化の中の道徳や価値観の中で若干の違いはあるものの、幸福を願う気持ちは同じなのだと確認できる。
特に、ブラームスがドイツ民謡として編曲した「眠りの精」の元ネタといえるベギニケル写本からの曲(「眠りの精」は19世紀の作曲家ツッカルマーリョがこの写本の曲に手を加え、伝承曲として出版。それをブラームスが民謡と信じて編曲発表した)や、14世紀伝承曲のモチーフ(レーガーも「マリアの子守歌」として使用)による大曲「宗教的な子守歌」など、リートファンからすると興味深い。
B面はスペインやラテンからフランス近代の曲になるが、ドビュッシーの有名な「家のない子のクリスマス」とか、戦争の闇を描いた曲も収録して、単純なクリスマスアルバムではないことを実感させる。
凄いのは、それらが違和感なく一枚の中で共存できていることだ。アメリングの爽やかな澄んだ声は、必要以上に重い空気を出すことがない。
基本的に、アメリングは、美しさと優しさ、温かさからメッセージを送っている。

amecri.jpg
イギリス・ドイツ・スペイン・オランダ
のクリスマスの歌

エリー・アメリング(ソプラノ)
ダルトン・ボールドウィン(ピアノ) 佐藤豊彦(リュート)
アルバート・ド・クラーク(オルガン) 他
(Brilliant Classicsオランダ輸入盤)



CDはクラシックのCDを買っている人なら誰もが知るオランダのブリリアントレーベルから発売された。
LP発売から約30年の時がたっている。CDでの復活は奇跡のようにも思えた。
そのCD化からもすでに10年近くが過ぎようとしているが、廃盤にはしてほしくない1枚だ。

こういう音楽はCDで気楽に聴くのも良いが、このアルバムはLPで、少しばかり面倒なアクションを経て、丁寧に聴く方がずっと良いと思う。美しい声と演奏なので、BGMにして心地よいのは当然なのだが、そういう聴き方は申し訳ない気がする。しっかり集中して鑑賞したいアルバムだ。
何より、世間の賑やかな商戦とは対極の、こういうものを聴きながら過ごすクリスマスのほうが、自分は好きである。

posted by あひる★ぼんび at 22:05| Comment(2) | 音楽
この記事へのコメント
こんばんは。

この音源がEMIのICONシリーズの8枚目に入っていると最近知りました。
もう、タワーレコードに注文してしまった後ですが😱
いい演奏なので2枚あってもいいかな☺
Posted by 真子 at 2017年12月30日 20:44
こんにちは。

そうでしたか。発売時期が近いので同じリマスターでしょうね。
自分の場合、廉価BOXには補完意識しか持てません。
一番は初出時のメディアですが、プライやアメリングはLP−CD時代を跨ったのでどうしても混乱が生じますね。
まして原盤権利が拡散したものは、我々素人では再発状況が掴めませんし。

メディアが両方出ているアルバムの場合、音質は総じてLPが上です。
CDのメリットは保管や鑑賞の気楽さだけ。
よってコレクションはLPで・・・ってこれが泥沼なんですよね^^;
Posted by あひる★ぼんび at 2017年12月31日 11:18
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]