2017年12月12日

ペルシャの市場にて

言うまでもなく「ペルシャの市場にて」はイギリスのアルバート・ケテルビー(1875〜1959)が1920年に書いた「名曲」。
20世紀中はそこそこの数の録音リリースがあったし、小学校の鑑賞教材でもあり、誰もが知っている曲だった。
大英帝国的視点のみで中東を描いた6分間ほどの音の絵巻物で、そこには異国文化への強い憧れも溢れていて、差別意識で不快になることはない。その憧れの方向が明快で、無邪気を装っているので、誰でも理解できる楽しさがある。まあ、だからこそ鑑賞教材に選ばれたのだろう。
ペルシャ(イラン・イラクあたり)は本来、強国である。長い間、中東の小国を支配し君臨する支配側でもあったのだが、英国の国力はそれに勝った。この曲が発表された翌年にはイラクに傀儡王政をひき、委任統治領としている。オスマントルコからの「アラブ解放」は大英帝国にとっての大義名分であり、おいしすぎる利権だったのだ。この曲もそんな時代に便乗し、遠回しのプロパガンダも含んだ「あだ花」ともいえそうだ。

自分がこの曲を初めて聴いた時は小3ぐらいだったろうか。
母が買ってきた「ホームミュージック集」のLPに入っていて、オーケストラではなく、日本人のエレクトーン奏者による演奏だった。
どうやら当時の僕は、そのLPの中ではこの1曲だけ気にいったようだった。
いろいろな名曲が入っていたと思うが、何が入っていたか全く覚えていないから、つまりそういうことだろう。盤は早くに処分してしまったので、これ以上のことはわからない。
とにかくエスニックな暑苦しさを癒すような「王女のテーマ」の優雅な下降音形、ゆるやかな盛り上がりが好きだった。

さて、久しぶりにLPレコードでこの曲を聴いた。
今回聴いたのは80年代の初めごろに発売されたホームミュージック15枚組BOXセットの中の1枚目、第1曲。
inapersian.jpg
「ペルシャの市場にて」
      〜珠玉のホームコンサート
ビクター・RCA・フィリップスの名盤より


(ビクター LP15枚組 国内盤)




このセットはビクターファミリークラブの企画で、誰もが楽しめる好演名演の定番を集めたもので、手抜きや切り貼り感のない選曲もすぐれている。これについてはまた後日書くが、まずは「ペルシャの市場にて」である。ボックスの装丁画がモーツァルト父子で、メインタイトルと関係ないし、中身もあまり古典派よりでないのはご愛嬌か^^;

「ペルシャの市場にて」の演奏はアーサー・フィードラー指揮、ボストン・ポップスの名盤として知られる1950年代末の録音。活気にあふれ、聴き手へのサービス全開の演奏だ。
団員による「物乞いの合唱」とガヤがノイジーで粗野で良い^^。
王女のテーマも雄大優雅。これぐらい恥ずかしげなく盛り上げてくれると、この曲のちょっと不誠実な、怪しげな味わいも伝わってきて、それも良いと思う。
娯楽と芸術の境界線が曖昧なのは、つまり優れている証拠、本物の証なのだ。
昔はこんな演奏が沢山あった。それを聴いて、音楽が好きになった。
そのことを思い出させてくれる演奏だ。
つくづく、音楽が好きで良かった♪今、聴く喜びを改めて実感している。

posted by あひる★ぼんび at 23:57| Comment(0) | 音楽
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